研究分担者 |
柳川 堯 九州大学, 大学院数理学研究科, 教授 (80029488)
福重 淳一郎 九州大学, 医学部, 助教授 (80128082)
岡村 建 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90150432)
辻 博 九州大学医療部, 付属病院, 助手 (90155367)
長谷川 真弓 九州大学, 医療技術短期大学部, 助手 (60172897)
佐藤 香代 九州大学, 医療技術短期大学部・10DA03, 助教授 (80170736)
飯田 隆雄 福岡県保健環境研究所, 生活化学課, 課長
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研究概要 |
平成6年6月から9月にかけて採取され、ダイオキシン類や農薬などによる汚染レベルがすでに判明している母乳を採取して成長した生後9ヵ月〜13ヶ月の37名の乳児の採血を、平成7年2月から3月に行った。この採血時に、乳児の精神運動発達度についても検査した。 これまでの研究結果では、母乳のダイオキシン類の濃度が高いとヘルパーT細胞(CD4)の割合が増加し、逆にサプレッサーT細胞(CD8)の割合が低下する傾向がある。そのために、CD4/CD8は有意に上昇することが認められた。また、母乳のダイオキシン類の濃度が高いと、甲状腺ホルモンのチロキシン(T_4)が有意に低下する傾向が認められた。母乳のダイオキシン類や農薬などの濃度と精神運動発達度や染色体への作用などについても解析を行っている。例数が少ないので、さらに例数を増やし、精度の高い解析を行う必要がある。 平成7年度も平成6年度と同様の研究を行っている。つまり、平成7年6月から9月にかけて出産後2〜3ヶ月の母親40名から一人当たり50mlほどの母乳を収集し、母乳のダイオキシン類や農薬などの濃度を測定した。ダイオキシン類の濃度は2,3,7,8-ダイオキシンとして、平均値は1.05pptで、その範囲は0.34〜2.37pptであった。また、主要な農薬の平均濃度は次のようである。ただし( )内の数値は、それぞれの農薬の最小濃度と最大濃度である。ヘキサクロロベンゼン(HCB):0.9ppb(0.2〜2.7ppb)、β-BHC:21.7ppb(3.8〜78.9ppb)、全DDT:19.1ppb(3.5〜59.0ppb)、ヘプタクロールエポキシド:0.2ppb(検査不可〜0.5ppb)、デイルドリン:0.3ppb(0.1〜1.0ppb)。平成6年度のダイオキシン類や農薬の濃度と比較すると、いずれも低値を示した。 平成8年2月より、平成7年に母乳を採取した40名の母親の乳児の精神運動発達度の検査を行うとともに、採血も行っている。得られた血液を用いて、姉妹染色分体交換頻度、免疫能や甲状線機能などの検査が行われている。 平成8年度も新たな40組の母子について、平成6年度および平成7年度と同様の研究を実施する。
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