新しい細胞接着因子(gicerin)の構造と機能

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06404085
• 研究種目: 一般研究(A)
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 三木 直正 大阪大学, 医学部, 教授 (40094445)
• 研究分担者: 平 英一 大阪大学, 医学部, 助手 (60263240) ; 郭 哲輝 大阪大学, 医学部, 助手 (50126570) ; 大杉 武 大阪大学, 医学部, 助手 (50176880) ; 樋口 宗史 大阪大学, 医学部, 助教授 (30150337)
• キーワード: ギセリン / 活性ドメイン / 細胞接着 / 神経察知伸展因子 / 腎臓 / 発生 / 癌化

研究概要

1、ギセリンのサブタイプ
ギセリンには、細胞内ドメインの異なる2種類のサブタイプ(L-およびS-ギセリン)が存在することを見出し、その構造を明らかにした。
2、活性ドメインの決定
細胞外ドメインの5つイムノグロブリン構造を削除した欠損遺伝子を作成し、L細胞に発現させ、細胞接着活性およびNOFとの結合活性を調べた。どのグループも細胞接着活性を持っているが、第5ループが一番活性が強いことが分かった。NOFとの結合は、ループの数が増えると活性も強くなることを見出した。
3、腎形成におけるギセリリン
胎生期腎臓では、ギセリンは尿管芽および造後腎中胚葉細胞が凝集し上皮細胞に分化する時に著明に発現していた。生後にはギセリンの発現は著減した。一方、NOFは恒常的に基底膜および糸球体のマトリックスに発現していた。ギセリンは、ウイルムス腫瘍では著明に増加していた。また、ウイルス性間質性腎炎の回復期でも集合管で再発現がみられた。ギセリンは、腎の発生、癌化、再生において重要な働きをしていることが推察された。

研究成果

• [文献書誌] N.NTakaha,: "Expression of gicerin in development,oncogenesisi and regeneration of the kidney." Differentiation. (in press). (1995)
• [文献書誌] E.Taira,: "Molecular cloning and functional expression of gicerin,a novel cell adhesion molecule that binds to neurite outgrowth factor." Neuron,. 12. 861-872 (1994)
• [文献書誌] K.Nakano,: "Tyrosine phosphorylation of a 58 kDa protein induced by morphine in SK-N-SH cells." Biochem.Biophys.Res.Comm.,. 200. 797-801 (1994)
• [文献書誌] T.Osugi,: "Modulation by chronic morphine administration of single stranded cAMP response element(ssCRE) binding proteins in the mouse cerebellum." Molec.Brain Res.,. 21. 256-262 (1994)
• [文献書誌] M.Ikemoto,: "Decrease in CRE-binding activity by chronic morphine administration in mouse brain." NeuroReport,. 6. 262-264 (1995)
• [文献書誌] 平英一、三木直正: "「アルツハイマー病の分子医学」(立石潤編)細胞接着因子と細胞死" 羊土社, (1995)