研究課題/領域番号 |
06451002
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂部 恵 東京大学, 文学部, 教授 (30012503)
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研究分担者 |
下野 正俊 東京大学, 文学部, 助手 (70262053)
高橋 克也 東京大学, 文学部, 助手 (50251377)
高山 守 東京大学, 文学部, 教授 (20121460)
天野 正幸 東京大学, 文学部, 教授 (40107173)
松永 澄夫 東京大学, 文学部, 教授 (30097282)
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キーワード | 存在論 / 行為論 / 組織 / 制度 / 共同体 / 実在論 / ドイツ観念論 / 実存思想 |
研究概要 |
存在論・言語論・行為論という三つの領域の内、本年度は存在論と言語論という二者のありうべき交錯というテーマの下に、各分担者が以下のような研究を遂行した。 天野正幸は、プラトン、アリストテレスにおいて、存在論が行為論の不可欠の基盤としての役割を果たしているそのあり方について、幾つかの主要テキストを資料とし、現代英米哲学の方法をも顧慮しつつ構造分析を行った。 松永澄夫は、コンディヤック、トマス・リ-ド、メ-ヌ・ド・ビラン、ベルクソンといった近現代哲学における行為の分析を下敷きとしつつ、制度や組織という問題への考察に独自の端緒を開いた。 坂部恵はバウムガルテン、カント、パースらを主たる素材として、近世における実在論の展開のありかたとその行為論への反映の緒相の批判的分析を行った。 高山守は、ヘーゲルをはじめとするドイツ観念論の哲学における、存在論と行為論ないしとりわけ共同体論の間の関わりの諸相について、現代にいたるまでの議論の展開を視野におさめつつ考察、吟味した。 高橋克也は、これまでわが国でほとんど顧みられることのなかったフランス語圏のカント解釈において、実存思想とも関連するような自我論的行為論がどのように展開されていったかを調査し、批評した。また、下野正俊は、イギリス経験論の再検討を含めたかたちで、カントの存在論を科学哲学的視点から再検討した。 以上のように行為論に力点をおいた諸研究の結果、現代の唯名論的傾向に抗して存在の問題の重要性を再評価する我々の企図に、一つの基礎が築かれたものと認識している。
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