研究課題/領域番号 |
06451002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂部 恵 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30012503)
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研究分担者 |
高橋 克也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (50251377)
一ノ瀬 正樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20232407)
高山 守 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20121460)
天野 正幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40107173)
松永 澄夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30097282)
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キーワード | 言語論 / 行為論 / 記号論 / 組織 / 制度 / 弁論術 / 悪 / 応報 |
研究概要 |
平成7年度は、「言語論と行為論の交錯」を主題として、関連図書・資料・情報の収集に務めるとともに、以下の役割分担のもとに、歴史的ならびに体系的な見地からの研究を行った。 (1)天野正幸は、古代ギリシャ哲学における〈ディアレクティケ-〉〈弁論術〉等の概念が行為論といかに結びつくかを、現代の理論をも顧慮しつつ調べた。(2)松永澄夫は、メ-ヌ・ド・ビラン、ベルクソンらの身体論・知覚論を土台としつつ、制度や組織といったものとの関わりにおける行為論を試みた。(3)坂部恵は、トマス・アクィナス、カント、パースらの言語論、記号論が行為論との間に有する独自の結びつきを分析した。(4)下野正俊は、カントやイギリス経験論を手がかりとして、認識への行為の関与という問題を考察した。(5)高山守は、ヘーゲル、シェリングらの言語論、ロゴス論と行為の概念の関わりについて考察した。(6)高橋克也は、フランスの反省哲学を手がかりとしながら、行為の悪という問題を言語の主体としての人間という見地と関連させながら考察した。(7)一ノ瀬正樹は、イギリス経験論や現代分析哲学の知見を踏まえつつ、行為論的観点からの因果性概念の研究を行った。特に、応報という道徳的な概念の関与にポイントがおかれた。 行為の問題を探求する以上、倫理という主題が当然関わってくるわけだが、以上の諸研究は、単に倫理・道徳の探求を行うものではなく、むしろ、人間の存在の仕方や世界への関わり方そのものの中に、基本的な結構として道徳的ないし宗教的ニュアンスが関与せざるをえないことを論ずるものが多かった。これは、我々の研究テーマが存在論を常に射程に入れたものであることによるが、今回は言語論という方法的観点をとることで、この課題より精密になしえたものと考える。
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