研究課題/領域番号 |
06451009
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 正英 東京大学, 文学部, 教授 (90083708)
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研究分担者 |
遠山 敦 東京大学, 文学部, 助手 (70212066)
菅野 覚明 東京大学, 文学部, 助教授 (70186170)
竹内 整一 専修大学, 文学部, 教授 (80107515)
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キーワード | 非文字資料 / 宗教的景観 / 儀礼 / 都市構造 / 伝統的習俗 / 生死 / 自然 / 秩序 |
研究概要 |
本研究は、思想的著述や文芸作品などの文献資料をその研究対象の中心としてきた従来の日本倫理思想史学に対して、文字化され反省的に捉えかえされることはないが、そうした文献資料の背後にありその基底を形成する日本人の生の具体的諸相を「非文字資料」と呼び注目し、そうした資料の収集・整理を行なうとともに、それらを生・死・自然・秩序・心情といった倫理学的諸範疇の抽象観念の内に体系的に位置づけ再構成することを目的とし、また併せて当該資料の操作・解釈をめぐる方法論の確立を目指すものである。 平成六年度に得られた知見及び成果として、以下の二点が挙げられる。即ち、 1.古代の宗教的景観については、仏教の受容によって祭祀の場が寺院に移行することにともない、古代の宗教的観念がどのように変容・変質したかが問題となった。そうした問題に沿って、比叡山をその典型とするいわゆる平安仏教寺院以前の寺院形態がどのようなものであったのか、比叡山と飛鳥・吉野・奈良などの古代仏教寺院(さらには神宮)との形態・景観の比較が問われるべきだとの知見を得た。 2.近世における都市の構造に関しては、特に河川を中心とする自然的景観と、城郭(政治的中核)・寺社(宗教的中核)・遊廓(文化的中核)といった人為的な建造物とが、どのような有機的連関のもとに都市を構成しているかが、近世における世界観・生死観・秩序観を考察する重要な手がかりであることが認識された。
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