平成4・5年度の調査に引き続き日本に現存する中国絵画、中国書跡の作品の内、最も重要なコレクションである大阪市立美術館、京都国立博物館、東京国立博物館などに所蔵される未調査分の作品の調査を実施した。調査は基本資料とすべき諸印を、 6×4.5判カメラによる原寸大の白黒写真(特に重要なものはカラー写真)として、また印色の記録の為、それぞれ35ミリ.カラースライドとして撮影した。また鑑定上の必要に応じて作品の絹、紙を35ミリカメラによる拡大写真撮影を実施した。 調査により収集した諸印の原寸大焼付写真資料を、従来、収集整理した写真資料と同様にB6判のカードに貼り、それぞれ基礎データを記入し、画家、書家、収集家、賞鑑家別に分類整理し、諸印の真偽の問題、さらにその用印年代を検証した。本年度、新たに収集整理した資料は約1800点に達する。平成4・5年度の調査による資料を含めて、今回の資料の整理にあたっては、今後の資料の厖大化に対応する為に、それぞれの印に関する基礎データ、すなわち、印文、画家、書家、収集家、賞鑑家、用印年代、収載作品名、作品の時代等の各要素をデータ・ベースに入力する作業も開始した(なお個々の資料をデータベースに入力する作業の促進と効率化をはかる為パソコンを新規購入の1台のほか1台を適時借用し2台に増強した)。整理分類の方法については、なお、今後、検討すべき問題もあるが、これにより、最終目的である『日本現存中国書画落款印譜』の公刊の為の個々の資料のデータ・ベース化の基礎をつくることができたといえる。
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