研究課題/領域番号 |
06451018
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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研究分担者 |
待田 昌二 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00222290)
今川 真治 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00211756)
金澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助手 (60183886)
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40030043)
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キーワード | ニホンザル / 個体追跡法 / テレメトリー / 遊動 / アルゴスシステム |
研究概要 |
岡山県真庭郡勝山町神庭の滝付近に生息するニホンザル餌付け自然集団(勝山集団)と大阪府箕面市箕面の森自然公園に生息するニホンザル餌付け自然集団の2つのニホンザル集団を観察対象として、若年層のオスを中心とした観察を行った。 勝山集団において行われた、周辺化の過程にある若年オスの個体関係の調査の結果、対象個体の近接個体の内訳には順位によって違いが見られ、対象個体の中でも優劣順位が上位の個体は、下位の個体に比べ、近接個体の数が少なく母親や血縁メスとの結びつきが弱かった一方で、周辺部のオスとの近接は多かった。この結果から、上位群の個体は下位群の個体よりも周辺化の度合い、すなわち周辺部への指向性が強いと結論された。また、上位群と下位群との間には全く近接関係が見られず、対象個体同士の仲間関係には2つのグループが存在していた。この2つのグループが生まれた原因は、個体によって周辺化の時期が違っていたためであると考えられた。 また、本年度は、前年度のものを改良した新しいアルゴスシステム送信機を箕面集団から選定した1個体に装着し、この個体の追跡調査を行った。その結果、群れからの離脱の過程にあると考えられていたこの個体(6歳齢)はまだ集団の周辺部に留まっており、集団周辺部で、集団との距離を一定に保ちながら行動していることが明らかとなった。しかしながら、今回の衛星による個体追跡の精度は必ずしも高いものとはいえず、場合によっては箕面集団の行動圈から大きくはずれるデータを得た。この原因の究明については、送信機出力の増幅を含めて今後の課題としたい。
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