研究概要 |
本研究は、認知障害者を対象としてマイクロコンピュータによる神経心理学的検査と機能訓練ソフトの開発と評価が目的である。本年度は、脳血管障害者と認知障害特性の検討と脳性麻痺者の生活適用のための機能補償の検討を中心に研究を行った。脳血管障害者群の神経心理学的評価については、利島と吉田が担当した。まず、顔画像の空間周波数特性を変数とした研究(永山・吉田・利島,1995)や仮現運動事態でのプライミング効果にいての研究(吉田・河原・前堂・利島,`1995)から、パソコンによる健常者の知覚特性を明らかにし、吉田は脳損傷者へのパソコンによる認知障害評価ソフトの開発を行った。これらの成果に基づいた認知検査用ソフトを開発して、第53回日本心理学会大会ではパソコンによる脳損傷者の図地知覚障害特性を検出の研究を発表し(柴崎・吉田・利島,1995)、1996年にモントリオールで開催される第21回国際心理学会において、脳損傷者の知覚的体制化障害の研究を発表予定である。さらに、利島(1995)は、これまでの本研究の成果を踏まえ、脳損傷者の認知障害特性とバリア・フリーの立場からの生活適応について、第53回日本心理学会大会で小講演とシンポジウムを、第21回感覚代行シンポジウムにおいて招待講演を行った。脳性麻痺患者の研究は中邑が担当した。安定した残存機能の検出と反応入力センサーのフィッティングを中心とした機能補償の問題を、認知障害の側面から検討した。その成果は、中邑を中心としたこころリソースブック編集会により発行される「こころリソースブック1995版」として、脳性麻痺以外の種々の障害者のパソコン利用の機能補償のデータベースとして利用されている。
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