研究概要 |
1.大学生を対象に、科学百科事典の項目を読ませて、読解中に考えたこと、感じたこと、疑問に思ったことをすべて報告させ、疑問の生成の過程を調べた。読み手の予備知識により生成される疑問にも違いがあること、一回目の読解と二回目の読解とでも、生成される疑問に質的違いがあることが明らかになった。 2.情動表現に関する言語知識を問うため、小学校4,5,6年生108名を対象に簡単な概略のみの物語を登場人物の心情がよくわかるよう書き直すという課題を実施し分析を行った。その結果小6では、小4,5に比べ感情を示すのに身体感覚の比喩を描写するなどの特徴がみられた。そこで身体感覚の比喩の理解を発達的に検討するために、小1,2,3年生計740名に選択式と記述式で比喩の解釈をもとめる調査を行い、現在分析中である。また毎月一回熟練教師の国語の授業を観察し、また面接を行うことで、文章理解の授業における教師の思考を検討している。 3.長期間にわたる経験を通して獲得された豊富な内容を持つ概念の領域として、対人認知において用いられる性格特性語に注目し、その概念構造を探求する基礎研究を行った。(1)質問紙調査で得た被験者の「暗黙の性格理論」を、ニューラルネットワーク(ファジィ認知地図)モデルでシミュレートする研究を行い、このモデルが複合的な推論についても有望であることを確かめた。(2)性格特性語カテゴリーにおける階層構造に関する質問紙調査を行い、それが自然種のカテゴリー等とは異なり、緩やかなプロトタイプ的な構造を持つことを見いだした。 4.外国語の理解やイディオムの理解と記憶能力との関係を調べた。
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