研究概要 |
(1)文章の読解中に読み手はどのような疑問を生成するのだろうか,また,読解の目的や読み手の特徴に応じて,生成される疑問に違いがあるのだろうか,について検討した。説明文型の文章を読む際には,用語の「定義」や,事象の「解釈」に関する疑問が多く生成されることがわかった。一方,読み手が,記述の正当性について「判断」したり,どんな事象が予想されるかなどの「期待性」に関する疑問はほとんど生成されなかった。「他人に内容を伝達する」という目的のために読む場合は,「内容を批判するために」読む場合より,「定義」など内容整理型の疑問が多く,「疑念(その事実は真実か?怪しいのではないか)」など吟味型の疑問は少なくなることがわかった。内容に対して興味の高い人は、吟味型の疑問を,興味の低い人は,整理型の疑問を多く生成した。 (2)口頭での質問よりも,紙に書いて質問を出す方が抵抗感が少ないことがわかった。その理由として「教師との対人関係」,「まわりの人との対人関係」をあげることができる。 (3)性格特性カテゴリーの階層構造とカテゴリー使用の関係を調べた。その際,PDPモデルによる概念学習シミュレーションの方法を用いた。性格特性語カテゴリーのような複雑な領域を研究するには,活性化布置の時間的推移のような,モデルの動的な特性も含めて探究する必要があることがわかった。 (4)英語の読み理解や,格の理解には,数唱課題で測定されるような記憶能力が寄与していることがわかった。米国人を被験者とした時は,この関係はなく,非常に興味ある発見である。
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