研究課題/領域番号 |
06451024
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
斉藤 久美子 京都大学, 教育学部, 教授 (70046457)
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研究分担者 |
名取 琢自 京都大学, 教育学部, 助手 (10252412)
河合 俊雄 京都大学, 教育学部, 助教授 (30234008)
岡田 康伸 京都大学, 教育学部, 助教授 (90068768)
山中 康裕 京都大学, 教育学部, 教授 (30080162)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 観察機能 / 「母親-幼児映像」刺激(URS-IM) / 映像観察 / 印象形成 / 長期縦断観察 / 臨床家教育訓練 / 平等に漂うスキャニング |
研究概要 |
1.臨床心理学における観察機能の基礎研究として、一般家庭を観察の場に設定し、一定条件でのビデオ撮影による母子行動観察を定期的に行った。なお本観察は長期縦断をめざし、平成8年3月現在で約1年半を経て継続中である。また、観察者は、観察機能訓練のため、各観察素材をそのつど検討し、特徴的な素材を抽出する作業が行われた。 2.1.の映像素材を熟練臨床家が吟味し、観察機能の教育訓練に適切な情報価を持つ素材ユニットを作成した。それは4〜5組の母子交流の映像(各1分前後)を約4分に編集し一単位とする試みである。結果的に「母親・幼児映像」刺激(Video Recording Stimuli of Infant with Mother. VRS-IM)は複数ユニット(2〜3)で構成し、臨床心理学の学習経験の異なる群および隣接領域学習経験群(約120名)に観察させ、刺激印象の記述(非構造化、半構造化、及び構造化された記述様式による)を求める映像評価調査を施行した。調査結果から、「観察視点」「観察内容」「観察様式」「観察体験」に関する72項目の指標が抽出された。この指標を用いて観察記述を分析し、因子分析した結果、観察機能を規定する諸要因として「観察内容」では7因子、「観察様式」では4因子が採用された。各因子得点の分析の結果、ユニット提示に伴う観察機能の系列的変化や、学習経験の違いによる観察内容の違い等に統計的有意差が認められ、今後この種の母子交流映像刺激ユニットを用いた臨床家庭教育訓練の有効性が示唆された。「内的愛着表象」質問紙、及びロールシャッハテストの分析から、本映像評価調査独自の特性が認められた。それらによって発達早期の自由行動及び母子交流場面が豊かな観察を引き出す刺激価を持つこと、またその場面をコンパクトな映像刺激にまとめたものを臨床心理学的に意義深く用いうることが認められた。
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