1.平成7年度は、群馬県太田市を対象地として本調査を実施した。本調査は、以下の内容で行った。 a.事業所を対象とした事業所の展開過程と存立構造および事業所関連に関する抽出アンケート調査。 b.地域住民を対象とした生産・労働生活過程の変化と生活課題に関する抽出アンケート調査。 c.特定企業に対する事業内容と従業員に対する面接調査。 2.その結果、太田市に立地する企業は当市だけでなく東毛地域と栃木県の両毛地域に位置する多くの市町村に下請け・関連企業のネットワークを形成していること、同時に太田市に立地する企業の従業員も東毛地域・両毛地域の市町村に存在する地域住民から構成されていること、反面、隣接する大泉町の大企業を中心に東毛地域・両毛地域に属する他の市町村の事業所に通勤する太田市民が数多く存在することなどがわかった。 3.同時に、近年この地域の産業の高度化に伴って太田市に新たに流入する住民が増加し、それが太田市の階級階層構成を大きく再編させていることもうかびあがった。その際、階級階層構成の変化にもっとも大きなインパクトを与えているのは、新たな産業の立地のたびに新たに流入してきた単純労働力としての外国人労働者と大企業の専門管理職層である。単純労働力としての外国人労働者が階級階層構成の最低辺、大企業の専門管理職が最上層を構成する形で、階級階層構成それ自体を従来よりも格差の大きいものに変えてきているのである。 4.これらの結果をふまえ、さらにそれぞれの階級階層の労働や生活のあり方そのものの特質をさらに深く分析することが必要になる。
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