首都圏内の東京23区、東京都下26市、横浜市17区、川崎市7区、神奈川県下17市、埼玉県下39市、千葉県下26市、茨城県南12市について、1975年、80年、85年、90年の中壮年男性の年齢調整済死亡率の時空間分布を求めるとともに、4つの時点ごと横断的に、またブロックごとに、死亡率と地域住民の社会経済的特性との地域相関を検討した。 その結果、全国平均より高い死亡率を持つ東京都下町地域から東京湾岸にかけた地域を中心として、その周辺に全国並みの死亡率を持つ地域、さらにその周囲の市街地から郊外の都心通勤圏内にかけた地域に、全国平均より死亡率の低い地帯が広がるという、ド-ナッツ構造を持つことが明らかになった。こうした地域間格差は、1975年から90年にかけて、首都圏中心部の高及び全国並み死亡率地帯がやや拡散し、低死亡率地帯がより郊外へとシフトする傾向にあったものの、格差自体は縮小する傾向にはなかった。さらに、いつの時点、どのブロックでも、高死亡率と不安定就業階層の存在との間の関連性が示唆された。 1973年以降1992年までの産業(中分類)別有病率と世帯業態別有病率を求めるために、労働安全衛生統計等から得た粗有病率(粗とは、年齢調整をしていないという意味)に間接法による年齢調整を試み中である。
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