今年度は、東京に本社のある大企業の現役ビジネスマン数名(30代と40代)に対するインタヴュー調査を実施するとともに、関西のある私立大学経済学部の4回生(平成7年3月卒業予定)全員を対象にしたアンケート調査をおこなった。また研究会を数回開催し、文献的な研究をするとともに、仮説の検討を行った。ビジネスマンを対象にした聴き取り調査においては、彼らの企業組織に対する意識を探るとともに、現代の青年文化に対する態度をとらえることを主眼とした。数度のインタヴューでは彼らの意識の実態に接近することはなかなか困難ではあるが、概して彼らは青年文化への共感を色濃くもつとともに、企業組織への強い貢献動機をも併せもっているように思われた。私立大4回生を対象にした「大学と企業との関係についてのアンケート調査」においては、主として大学生の就職活動経験の実態とそれについての彼らの意識を明らかにすることをめざした。その結果は現在集計中なので、まだ十分な分析は行えないが、彼らは概して就職そのものに対して真剣であり、企業への態度も個人主義的というよりは集団主義的であるようにみえる。青年文化との接触の経験もあまり色濃い影を落としていないように思われる。この彼らの態度が、現今の不況の影響によるものかそうでないかは、今後の研究によって明らかにされなくてはならないであろう。いずれにせよ、二つの調査の詳細な分析は、次年度以降の課題である。
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