本年度は大手企業のビジネスマンおよび大学生を対象にして数回の面接調査を行うとともに、関西のある私立大学経済学部の4回生を対象に実施したアンケート調査(平成7年1月実施)の集計、分析を行った。アンケート調査の結果を本研究の観点からまとめてみると以下のようになるだろう。 1 「遊び」中心の大学生活:現今の大学生にとって大学は必ずしも勉学の場ではなく、また就職準備の場でもないようだ。勉学について不熱心なことは改めて指摘するまでもない周知の事実だが、今回の調査で彼らが大学生活を就職と直接関連づけていないことが明らかになった。回答者の4分の3以上が「大学・学部を選ぶとき、就職のことを考慮しなかった」と答えており、実際ほとんどの学生がようやく3回生になって初めて就職について真剣に考え始める。大学での勉学を就職に結びつけるべきと考える者が4割以上いる一方で、両者をはっきりと分けるべきと考える者も4割近くいる。彼らにとって大学とはもっぱらクラブ・サークル、アルバイト、友人関係つまり一言でいえば「遊び」の場なのである。 2 実社会についての冷めた認識:企業における大学間差別や男女差別についてははっきりと認識されているようである。7割を越える学生が差別の現実を認めている。就職活動を行う中から企業の冷たい態度を実感したようである。資料を請求しても送られてこなかったという経験を6割近い学生がしている。だがこのような現実に対して強い憤りを感じたり嫌になったりするのかといえば、そうでもなく、大半の学生(7割弱)が「企業というのはこんなもの」といった割り切り方をしている。きわめて現実主義的な態度が浸透しているようである。
|