昨年度の大学生を対象とした価値観調査の結果をもとに、本年度は、対象を一般サンプルに拡大して調査を実施した。調査の目的は、人々の価値意識を類型化するとともに、類型化のための有効な価値軸(これが個人主義-普遍主義の軸ではないかと仮定している)を見い出すことにある。 本年度の前半は、過去の価値観調査や社会意識調査の項目を参照しながら、調査票を作成した。対象者は神奈川県内の成人男女2000人とし、サンプリングは調査会社に依頼した。10月までに調査票を完成し、11月に各対象者に調査票を郵送した。600人余りから回答を得たが、郵送法の回収率としては期待した以上であった。12月〜2月にかけて、データのコーディングおよびコンピュータへのインプットをすすめ、現在結果を分析中である。 本研究は、平成6年度〜8年度の3年間をかけてすすめるもので、本年度の調査結果も、最終年度の来年度にまとめることになっている。そのため、現在はまだ調査結果からの新たな知見を示す段階に至っていないが、傾向として、人々の意識の内部で、学校・職業・地域などの既存の集団に対する帰属意識が希薄化していることは伺える。各々の場において、「集団主義」的行動様式の志向性も弱まってきているようだ。しかしこれが、新たなる集団、ネットワークを形成するモティベーションにつながるのか、あるいは個々人がタコツボ型の時空間に収まって満足するような状況を生み出すのか、現在はその分岐点に位置しているように思われる。
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