研究課題/領域番号 |
06451040
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉一 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90019315)
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研究分担者 |
中川 勝雄 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60102159)
佐々木 嬉代三 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70066679)
木田 融男 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50094503)
奥川 桜豊彦 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60148385)
池内 靖子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (80121606)
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キーワード | 沖縄県 / 移民 / 母村 / 生活史 / 郷土意識 / 世代 / 郷友会 / 異文化コミュニケーション |
研究概要 |
平成7年度においては、(1)平成7年下旬兵庫県尼崎市戸ノ内町での沖縄県出身者の生活史調査(10名)(2)8月下旬沖縄県今帰仁村崎山区での住民の生活史調査(96世帯のうち24世帯実施)、(3)11月16日から19日かけて開催された第2回世界ウチナ-チュ大会の視察とそこに参加した海外移住者の生活史調査(2名)、(4)平成8年3月中旬に今帰仁村出身者で組織されている沖縄県中部地方の同郷団体である北山郷友会の活動実態調査、と主要には4種類の調査を実施した。 以上の調査で得られた知見は次ぎのとおりである。(1)本土に移住している沖縄県出身者はたとえば兵庫県尼崎市戸ノ内町にみられるように、特定地域に集住して濃密な相互扶助関係を維持しながら生活している、また(2)沖縄県出身者は出身母村に対して強い郷土意識を保持しており、母村と日常的な交流が意識的にはかられている。母村と本土移住者のこのようなつよい紐帯を示すものとして、阪神大震災に際して母村から戸ノ内町の崎山郷友会に100万円の義援金が送られいる。(3)母村においても男子高齢者の場合、ほとんどの住民が本土ないしは海外移住経験をしており、移住体験者は、移住先の価値観や文化を沖縄になんらかのかたちでもちこんでおり、沖縄の生活や文化には伝統的なもの、本土化、南米などの異文化、などが混入し独特なものが形成されているかのように見受けられる。しかし(4)本土と海外移住者はその定住期間の長期化につれて2世代、3世代が定住地で出生・生長しているため、沖縄文化の継承が次第に難しくなりつつある。とはいえ(5)世界ウチナ-チュ大会の開催にみられるように、沖縄県は戦前の早い時期から本土や海外へ多数の移民を送りだし、しかも移住民が母村との紐帯を保持してきているために、沖縄県が国際的な異文化コミュニケーションの中心地の位置を占める可能性を高めつつある。
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