平成6年度における文献研究、資料調査によって得られたコミュニティ・ケアに関する知見やデータを基盤として、主として研究対象を高齢者に焦点化し、コミュニティ・ケアを成立、推進させる要因の把握を目的として、行政関係者、社会福祉協議会職員、老人ホームや老人保健施設等の職員にヒアリング調査を実施し、量的把握と合わせて質的分析を総合化して、いろいろな課題が明確となった。 とくに高齢化を高くなっているコミュニティにおいて、過疎化が同時進行しているので、この両者の構造上の相互関連性を掘り下げた。また、コミュニティ・ケア体制において見落されがちなプライバシー問題や援助者、利用者ともに高齢者である場合などの具体的な推進上の課題や、今後、取り組まれるべきコミュニティにおけるネットワークのあり方について提示した。さらに、ノーマライゼーション思想や自由最大化状況などの理念上の明確化、コミュニティ・ケアにおけるソフト面でのケアマネジメントにも言及したところである。
|