研究課題/領域番号 |
06451044
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村井 憲男 東北大学, 教育学部, 教授 (90004829)
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研究分担者 |
仁平 義明 東北大学, 文学部, 教授 (10007833)
細川 徹 東北大学, 教育学部, 助教授 (60091740)
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キーワード | 慢性疲労 / 児童 / 学校適応 / 質問紙 / 母集団調査 / 精神生理 / 皮膚温 / サーモグラフィー |
研究概要 |
本研究によって最終年度までに得られた成果は、以下の2点にまとめられる。 (1)まず、児童の慢性的な疲労についての予備的調査を行い、その結果から「学童用疲労チェックリスト」を作成した。 このチェックリストを用い、仙台市、青森市階上町、新潟県新潟市、同両津市、横浜市、愛媛県越智郡の小学校児童およそ9,000名を対象に、児童の疲労の状態、および規定要因について分析した。児童の疲労の状態は、一般的な傾向として高学年になるに従い増加することが分かった。また、性差はあまり明確ではないが、高学年女児に疲労が多い傾向が見られた。さらに、児童の疲労の問題に地域的な違いのあることが示唆された。児童の疲労のし易さが不登校などの問題につながるかどうかについて調べたが、これには都市化など地域の特性もからんでくることが示された。 児童の疲労感を規定する要因について、仙台市及び青森県のデータを基に共分散構造分析を用いて検討した結果から、主要な疲労の規定要因は生活の規則性(生活リズム、食事、睡眠等)と余暇活動(クラブ活動、習い事等)の2つであり、特に前者の意義の大きいこと、またこの疲労感が学校の欠席につながっていることも明らかにされた。 (2)疲労が蓄積しやすい児童は、生理的機能の面においても活動性が低く、それは自律神経系の活動性に反映されると考えられる。それ故、認知的および運動課題負荷と皮膚温の変化との関連について分析した。 仙台市立の2つの小学校の4、6年次の児童20名を対象に、課題負荷前後の皮膚温の変化をサーモグラフィーによって測定した。認知課題は連続遂行課題(CPT)及びウィスコンシンカード分類課題であり、運動課題は10m歩行及び踏み台昇降であった。分析の結果から、自律神経系が賦活されにくい児童ほど疲労感が強い傾向にあることが示唆された。
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