研究概要 |
平成7年度において,本研究の研究代表者および研究分担者は,大学におけるリメディアル教育に関する研究会を10数回にわたって開催し,以下の調査を実施した。 まず,第1段階として,前年度に訪問調査を実施した4年制大学を中心に16大学を抽出し,平成6年度に1年次であった学生を対象とするアンケート調査を実施した。この調査は,高校の教科・科目ごとに履修状況および受験勉強の有無をたずねるほか,大学1年次において授業理解が最も困難であった授業科目について,その原因や改善策などの回答を求めるものであった。なお,16大学とは,室蘭工業大学,東北大学,福島大学,東京大学,福井大学,豊橋技術科学大学,広島大学,鹿児島大学,琉球大学,玉川大学,明治大学,神奈川工科大学,関東学院大学,東京工芸大学,関西大学,広島工業大学である(一部の学部・学科のみを対象とした大学を含む)。 さらに,第2段階として,上記調査を補完するために,教員を対象とするアンケート調査を,15大学を対象として実施した。 回収した調査票は,大学ごとの集計のほか,文系,理系,教育系について大学間比較を実施した。その結果,理系においては,高校における科目履修のばらつきが大学での授業理解を困難にしていること,教育系および文系については,そのような自覚はあまりされていないこと,高校で履修経験のある外国語(多くは英語)では理解困難の理由として「高校での理解が不十分」を挙げる傾向が入学試験の偏差値と相関があることなどが明らかになった。さらに大学での授業が高度すぎる場合や,高校での学習を基礎としていない場合のように,単純な補習では捕えない部分の存在が顕著な大学があり,多様な対応策を考慮することの必要性を指摘することができた。
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