研究課題
本研究は、教育改善を行う一般大学の研究手法をもとにして、卒業生からみた看護系大学教育の評価について看護系大学教育の目的と理念、卒業時の到達度、看護実践能力獲得という視点を用い、卒業生の受けた教育に対する意識調査を行うものである。その結果から、一般大学教育との比較を通して、看護系大学教育の現状とその特色を明確にし、今後の看護系大学教育における高等教育の充実を図るための基礎資料を得ることを目的としている。今年度は、日本教育社会学会および日本看護科学学会にて発表を行った。日本教育社会学会では1)充実・役立ち・修得の観点からみた評価2)臨床実習に対する評価3)授業科目に対する評価4)総合的な評価という点から主に単純データを用いて広く概観して報告した。看護科学学会では教育の充実と能力の修得に焦点をあてて報告した。充実感に関しては「クラブ・友人関係」が最も充実していたとし、「看護専門科目」「卒論・ゼミの経験」は半数以上が充実していたと答えていた。これは先行研究の「大学教育の充実度」の結果と類似した傾向がみられた。また、能力の修得に関しては「自ら学習し創造する能力」「対人関係能力」等について半数以上が修得できたとし、看護系大学教育の特徴と考えられる。また、大学の規模と教育の充実感と能力の修得の意識との関連についても報告した。大規模大学の卒業生は「一般教養科目」「クラブ・友人関係」が充実しているとし、小規模大学の卒業生は「看護専門科目」「卒論・ゼミ」「実習の経験」が充実していると回答していた。以上、各学会発表での質疑応答等も参考にして、報告書をまとめた。