研究課題
基盤研究(B)
本研究は、教育改善を行う一般大学の研究手法をもとにして、卒業生からみた看護系大学教育の評価について看護系大学教育の目的と理念、卒業時の到達度、看護実践能力獲得という視点を用い、卒業生の受けた教育に対する意識調査を行うものである。その結果から、一般大学教育との比較を通して、看護系大学教育の現状とその特色を明確にし、今後の看護系大学教育における高等教育の充実を図るための基礎資料を得ることを目的としている。研究方法は調査票による郵送法を用いた。文献検討から研究の枠組みを作成し、プレテストを経て調査用紙を作成した。7校の看護系大学卒業生2097名に対して調査票を郵送した。回収数は945名、回収率は45.06%であった。その後データ入力を行い、単純集計を行った。全体的にみて、卒業生からみた看護系大学の評価は肯定的評価が強く、各看護系大学が大学教育の目的を明確に示すとともにその持ち味を生かしながら専門的職業人育成という目的教育を行ってきた結果がよく現れているといえるのではないかと考えられる。今回の検討では、カリキュラム構成上での各授業科目の配分やその比重並びに指導・教授内容の問題、教員構成の量と質的な問題や教員の研究費・予算の配分など個別大学の特色または教育環境立地条件などとの関連についてはまだ充分な検討はされていない。また、今回示した結果は調査結果の一部であり、調査データ相互の関連やその他の意識、例えば看護職観や職務上の悩みや解決策などとの検討も行なえていない部分もある。さらに、調査対象者の経験年数が浅いということが今回の評価に影響を及ぼしていることを考慮しなければならない。しかしながら、今回の学んだ者の側からみた授業評価を含んだ調査は初めてのものであり、その結果は、現在の看護系大学のカリキュラム構成を見直す上で重要な資料となり得ると考えている。