研究課題
基盤研究(B)
社会的な効果からみた生涯学習政策は、産業社会モデル、福祉国家モデル、市民社会モデルという3つのモデルでとらえることができる。本研究は、このうち市民社会モデルに焦点をあて、近年になって台頭著しい「市民大学」がそこで果たす役割について、現状の分析と将来的な課題の考察を行うものである。報告書の「第I部 概念編」では、第一に現代の市民社会の特質を市民活動とNPO(Nonprofit Organization)の側面から考察するとともに、第二に市民社会モデルにおいて成人教育が満たすべき条件の検討、およびそのような成人教育のひとつである「市民大学」に関する理論的考察と分析枠組の構築を行った。「第II部 実態調査編」では、「市民大学」を対象に行ったアンケート調査の結果とケーススタディの結果を取りまとめるとともに、市民参画と地域波及効果の側面から「市民大学」の現状を分析した。なお、アンケート調査は、全国の市町村のうち市民大学を設置している501の市町村に調査票を配布し453市町村から回答を得た。ケーススタディは、アンケート調査に回答した市民大学のうち先進的な事業を実施しているもの、および都道府県や市民団体が設置している市民大学のうち先進的なものを候補としたうえ、最終的に14市民大学に対象を絞って調査を実施した。「第III部 将来展望編」では、NPOとしての市民大学の発展可能性、マーケティング論からみた市民大学の課題、国際社会における市民大学の動向など、いくつかの側面から市民大学の発展方向を考察した。
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