研究課題/領域番号 |
06451062
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 政宣 東京大学, 史料編纂所, 教授 (50013280)
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研究分担者 |
山本 博文 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (80158302)
宮崎 勝美 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (60143533)
藤田 覚 東京大学, 史料編さん所, 教授 (20092322)
鶴田 啓 東京大学, 史料編さん所, 助手 (10172066)
佐藤 孝之 東京大学, 史料編さん所, 助手 (30170757)
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キーワード | 官位 / 口宣案 / 位記 / 老中奉書 / 武家伝奏 / 京都所司代 / 諸大夫 / 官物 |
研究概要 |
近世武家官位に関する研究会を数回開いて、現在の当該研究課題に関する研究状況から、武家官位の制度的・形式的側面を具体的な手続きや儀礼・作法・経費などの面から明らかにすること、さらにその変化の追究が重要であることを確認し、それに沿って盛岡藩南部家、長州藩毛利家、徳山藩毛利家、土佐藩山内家、近衛家などの大名・公家史料を調査し、関係史料をマイクロフィルムで収集した。この結果、(1)四位以上の場合、幕府から叙位・叙任を仰せ付けられ、所司代宛の老中奉書を下付され、それを大名家の家臣が京都に使者として持参し、所司代・武家伝奏に伝達して位記・口宣などを受領するが、五位以下は家臣を使者として京都へ送ることはなく、高家が官物代金を預かり、年頭に京都へ赴いたおりに一括して手続きすること、(2)四位で昇位・昇任する場合は、(1)と同様の手続きを必要とするが、五位で職名だけが替わる場合は、幕府内部だけで処理して朝廷への手続きは必要としないこと、(3)大名の叙位・叙任は、表向き大名から幕府に請願するものではないとしながらも、通常は大名側から内々の形で何らかの働きかけを必要とすること、そしてその叙位・叙任、昇位・昇任を内願するさいの論理には、領民支配との関係がうたわれること、(4)近世の武家官位が確立・定着したと考えられる元禄期以降の変化として、文政・天保期と文久年間の2回に変動が見られ、その2回に官位・官職が1ランクずつ上昇すること、そして官位・官職の上昇は、将軍家との姻戚関係と海岸防備などの重要公務を勤めることが要素になっていること、(5)文久年間に武家官位は根本的な変化を示し、朝廷が官位・官職を叙位・叙任するという形式に改められること、などが明らかになった。ただ、近世初期の武家官位の実態とその確立、および幕府役人・旗本たちの叙位・叙任については不明なところが多く、来年度以降の重点課題となってくる。
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