研究概要 |
この3年間、単純命題、真理命題、発話の意味構造という文(節)に意味分析全般に必要な意味概念を用いて、副詞節の修飾機能を分析し、さらに主節についても検討した。これを文(節)の統語構造とも関連づけて検討し、統語構造と意味構造の相互関連についても調査し、妥当な結論を導くことができたと考える。また、これをコミュニケーションの成立の問題と関連させて、特定の言語理論に片寄ることなく客観的考察を試みた。さらには、主に現代英語の文(節)の発話の意味構造と統語構造の分析を行い、文(節)の意味機能を調査した結果、コミュニケーションの場で発話された文(節)の意味は、1)発話の力(文が遂行する発話行為の意味効果)、2)命題態度(命題に対する話者の心的態度)、3)命題的法性(命j題態度を反映する命i題の様相),4)命j題(文が表す出来事または状態)、の4つの部分からなるという結論を得た。さらには、文(節)の発話の意味構造分析で得られた知見、および集積した英語のデータベースに基づいて、継続中の従属節の意味特性と統語形式の対応関係の研究、さらに付加詞(adjunct)や離接詞(disjunct)の役割を果たす副詞節の研究を続行し、一応の結論を得、その研究成果を報告書にまとめた。一方、補文(従属節)を従える動詞が持つ意味構造と同じ意味構造を持つと考えられる英語の法助動詞の意味分析を行い、発話の意味構造分析に基づく本研究の分析法によると、現代英語の法助動詞の用法ばかりでなく、法助動詞の用法の発達も同じ説明原理で説明できることを明らかにした。コミュニケーションの成立と意味的・統語的構文研究を融合させるという当初の目標からすると、まだやり残したことも多いが、全体としては一応の成果をあげることができたであろう。
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