本(平成6)年度は、研究課題遂行のための準備に大半の時間を費やした。まずパーソナル・コンピューターとしてMac 7100/66AVとイメージ・スキャナーGT-9000RT、およびそれらの周辺機器(モニターTV、プリンター、キーボードなど)を購入し、いくつかのソフトをインストールした。申請者がパソコン操作に不慣れであったために、かなり時間がかかったが、途中からよき助言者を得て一応体制を整えることができた。次いでイメージ・スキャナーとOCRのソフトを用いてLe Roman de Renartのデータベース化の作業にとりかかった。しかしこの作業は当初予想していたよりはるかに多くの時間と労力が必要であるということが判明した。一頁一頁スキャナーに通すだけではなく、スキャナーでの読み取り能力が100%の正確さをもっていないので、読み取られたデータを元のテクストと照合し、一つ一つ修正していかなければならない。これは人間の手作業であり、100%の確度は期待できないものであるが、これが正確でなければ、後々のデータ分析結果の信頼度に直接影響を及ぼすので、100%に近づけるべく努力しなければならないが、これにはかなりの時間と、古フランス語の知識を十分もった専門家の労力が必要である。この作業は実質的には研究代表者である申請者本人が当たるしかなく、当初計画していた多数の作品のデータ入力を大幅に縮小せざるを得ない見通しである。 また平成7年度、8年度の研究継続についての見通しを立てるため、上記作品の数ページをデータベースとして、これのコンコーダンス(総索引の形で)作成を試験的に試みた。その結果おおよその見通しをつけることができた。
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