本(平成7)年度は、前年度に購入したパーソナル・コンピューターMac7100/66AVとイメージ・スキャナーGT-9000RT、およびそれらの周辺機器(モニターTV、プリンター、キーボードなど)とOCRのソフトOmni Pageおよびコンコーダンス作成用のソフトとしてのNisus Writerを用いてLe Roman de Renartのデータベース化の作業にとりかかった。しかしこの作業は当初予想していたよりはるかに多くの時間と労力がかかった。幸い中川弘正氏(広島大学留学生センター助教授)および内地研究員として広島大学で研修中の前田弘隆氏(広島商船高等専門学校助教授)を研究協力者として得ることができ、さらに広島大学文学研究科博士課程後期在学中の重見晋也氏(フランス語学フランス文学専攻)の協力を得ることができた。三名ともコンピューターに詳しく、かつ古フランス語の知識を十分もった専門研究者なので、OCRで読み取られたデータを元のテクストと照合し一つ一つ修正し、後々のデータ分析結果の信頼度をかなり高めることができた。 また前述の中川弘正氏自身が作成したMerlinのコンコーダンスを本研究課題のためにそのまま利用させてもらうことにした。したがって平成8年度にはこれら両者のコンコーダンスを比較することができるようになった。 他方本年度には上記データの一部をインターネットの広島大学文学部フランス語学フランス文学教室のホーム・ページで公開し、世界じゅうの研究者が利用できるようにした。これは当初の計画には含まれていなかったが、広島大学文学部全体でできるだけ研究成果を公開していくという方針に協力したものである。
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