研究課題/領域番号 |
06451085
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉島 茂 東京大学, 教養学部, 教授 (50011309)
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研究分担者 |
坂梨 隆三 東京大学, 教養学部, 教授 (10011313)
山中 桂一 東京大学, 教養学部, 教授 (20056055)
幸田 薫 東京大学, 教養学部, 教授 (30126776)
重藤 実 東京大学, 教養学部, 助教授 (80126078)
新田 春夫 東京大学, 教養学部, 教授 (00012443)
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キーワード | モダリティ / 話法 / 話法詞 / 話法の助動詞 / 心態詞 / 類型論 / 対照言語学 |
研究概要 |
言語表現は、事柄の客観的記述である命題部分と事柄に対する話者の主観的心的態度を表す部分であるモダリティから成り立っていると考えられる。本研究は、ドイツ語におけるモダリティの表現形式について、日本語、英語、朝鮮語などと対比しつつ、類型論の視点から、より普遍的な形式によって記述しようとするものである。 本年度は日本語のモダリティ表現を中心に考察をすすめた。仁田義雄、益岡隆志、Palmer,Traugott,Frawley,Bybeeなどの理論を参照しつつ、仁田の用語に従って、モダリティを発話・伝達のモダリティと言表事態めあてのモダリティに大別した上で、とくに、言表事態めあてのモダリティの中の判断のモダリティについて検討した。この判断のモダリティはさらに、話し手の断定を表すものと推量を表すものに分かれる。この推量を表すものは従来epistemic modalityと呼ばれてきたが、これはさらに単なる断定保留の場合と、推量の確かさ、蓋然性の程度を表す場合とが区別されなければならず、またその他にも、判断の様式を表すものとして、外界の徴候にもとづく推量(evidentials)と論理的推論による推量があり、これら4つのモダリティは、モダリティの副詞との密接な呼応関係において記述できることが明らかとなった。 次いで、仁田のいう、日本語におけるさまざまな真性モダリティ形式と疑似モダリティ形式について検討したが、命題を表す形式とモダリティを表す形式とが連続的に移行していく様を観察することができた。 また、実証的な研究として、テキストデータベースからの用例の採集は欠かすことができないが、そのためのOCRによるテキストデータベースの構築と並んで、EDRに採録された日本語、英語の各22万にのぼる用例と記述も本研究にきわめて有効なことが判明した。
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