研究課題/領域番号 |
06451086
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島谷 謙 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00243519)
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研究分担者 |
古川 昌文 広島大学, 文学部, 助手 (60263646)
小島 基 広島大学, 総合科学部, 教授 (70116581)
好村 冨士彦 亜細亜大学, 大学院, 教授 (80026806)
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キーワード | 亡命文学 / ナチズム / ヒトラー / ワイマ-ル共和国 / エルンスト・トラ- / S. ショッケン / ユダヤ人 |
研究概要 |
今年度は三月に広島で研究会を行い、好村が「ユダヤ系のオーストラリア作家ゾ-マ・モルゲンシュテルンの場合」と題して報告を行い、エルンスト・ブロッホとも交流がありながら、日本ではほとんど知られていない作家モルゲンシュテルンに関して、彼のアメリカでの亡命体験と作家活動を紹介した。島谷が「E.トラ-の亡命時代の演劇」というテーマで、トラ-の『もう二度と平和は』と『牧師ハル』の二つの劇作品に関して分析し、当時の時代背景やドイツ国内のキリスト者の抵抗運動との関連をふくめ論じた。古川が「ショッケンとユダヤ亡命文学(2)」と題して、ザルマン・ショッケンのユダヤ系作家との交流および出版活動について報告した。また京都大学名誉教授野村修氏に今年度も研究協力者になって頂いた。今回、対象となった作家はいずれもユダヤ系の人々である点に、研究の特色がある。 研究会を重ねることで、各人の研究が深まるとともに、相互に関連づけることで作家間のつながりや、当時の状況を多元的にとらえることが可能となってきた。亡命作家の数は数百人におよび、依然日本では研究されていない作家も多数いる。そうした作家や出版人の研究を進める一方で、相互の関連や亡命先の国々における政治状況の変化と作家たちの境遇に与えた影響に関する研究をさらに進める必要がある。いずれにせよ、今回の研究を通して、亡命文学の全体像をとらえるうえで重要な手掛かりを得ることができた。
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