研究課題/領域番号 |
06451086
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島谷 謙 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00243519)
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研究分担者 |
古川 昌文 広島大学, 文学部, 助手 (60263646)
小島 基 広島大学, 総合科学部, 教授 (70116581)
好村 富士彦 東亜大学, 大学院, 教授 (80026806)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 亡命文学 / ナチズム / ヒトラー / ワイマ-ル共和国 / エルンスト・トラ- / S.ショッケン / ユダヤ人 / T.アドルノ |
研究概要 |
好村の「初期アドルノの音楽理論」は、1920年から30年代におけるアドルノの音楽理論の展開を跡づけた。そしてナチスを支持し、ナチス政権獲得後もドイツ国内にとどまった詩人の作品をアドルノが評価したことに言及し、アドルノの意外な一面をとらえている。古川の「ショッケンとユダヤ亡命文学」では、カフカ全集をはじめ多くのユダヤ関係の書籍を刊行したザルマン・ショッケンの生涯とショッケン出版社の活動を紹介した。彼の活動はドイツにおけるユダヤ人のアイデンティティーの確立とユダヤ文化の再生を図ったものである。ユダヤ関係の書籍の刊行がナチス政権下のドイツで継続されていたという意外な事実が明らかにされ、ナチスの文化政策の性格を窺い知ることができる。 島谷の著書『ナチスと最初に闘った劇作家--エルンスト・トラ-の生涯と作品』(ミネルヴァ書房21世紀ライブラリー)はドイツの辺境に生まれたユダヤ系の劇作家E.トラ-の生涯を辿り、第一次大戦末期のドイツ革命への参加、表現主義演劇の旗手としての活躍、ナチス政権成立にともなう亡命と反ナチ闘争、スペイン内戦参加にいたる彼の活動をとらえる。彼はナチスの脅威をいち早く予見し、1923年にはヒトラーを風刺した劇を発表した。彼の残した自伝や多くの劇作品、書簡集、講演文などの分析を通して、ナチズムと対峙しつづけた作家の全体像を明らかにする。全348ページ、原稿七百枚におよぶこの評伝は、三年間の科研の最大の成果である。
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