研究課題/領域番号 |
06451093
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文学一般(含文学論・比較文学)・西洋古典
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小野 理子 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (60031340)
|
研究分担者 |
岩本 和子 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (60203410)
光末 紀子 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (80031350)
平野 雅史 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (50031315)
柏木 俊和 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10031345)
宮ヶ谷 徳三 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10031311)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
キーワード | ヨーロッパ / コスモポリタニズム / ナショナリズム / 旅行記 / 辺境 / 亡命 / パトリオティズム / フェミニズム |
研究概要 |
ヨーロッパ文化論大講座の各メンバーのこれまでの専門研究分野での成果を生かしつつ、それらを有機的に結びつけ、新たな方向で1つのまとまった成果を目指すのが、今回の研究目的であった。具体的には、 1.ヨーロッパの17〜19世紀を主な対象とし、多地域を股にかけて活躍した知識人の著作や、当時の旅行記・メモワール、さらに国際的な動向と多少とも影響関係を持った雑誌・新聞など共時的・通時的に幅広く文献・資料を収集し、その整理・検討を行なった。 2.月1回の研究会を開き、研究分担者全員がヨーロッパのコスモポリタニズムとナショナリズムに関する研究を発表し、活発な討論を行なった。 3.講演・研究会を開催し外部の研究者との意見交換を行なった。(東京都立大学教授高山宏氏、学習院大学助教授有川治男氏) 4.研究会の発表内容もしくはそれに関連する論文を分担者各自が執筆し、その他の活動の詳細な記録と合わせて報告書(冊子体)を作成した。 東西冷戦状態の構図が崩れ、ヨーロッパでもEU統合の現実化と同時にナショナリズム(民族主義、国家主義、あるいは同一宗教主義)の傾向も激化している。この現実を睨みながら今回我々が注目したのは、フランス革命から7月・2月革命期を中心とした、ヨーロッパにおいて「国家」の概念が台頭し国境線が何度も引きなおされた時期とその周辺である。それは先進地域による覇権主義と後進地域におけるナショナリズムの昂揚、亡命貴族や知識人達の文化交流や摩擦、18世紀頃からの旅行ブームとも関連したコスモポリタニズムによっても特徴づけられる。古代から現代までのヨーロッパを考える上でもこの時期を詳細に研究しておくことは意義深かった。 この分野での従来の細分化された専門領域別研究や言語圈別の文献検討にとどまらず、全体の俯瞰や中心をはずれた地域・視点の全体との関わりも追求することを意識した。また従来全く無視されてきたこれらの時代・地域における女性の活動にも焦点を当てた。言語面でも、英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語・ラテン語・ギリシャ語の専門的知識を有する者が集まった。「コスモポリタニズム」「ナショナリズム」の概念自体の多義性やそれらのヨーロッパにおける特殊性に関して、多角的な視点から考察し、共同研究をおこなったことでマクロ・ミクロ両視点からのヨーロッパ像が少しでも見えてきたと思う。
|