本研究の目的は、戦後日本の政党の組織と政策について、その成立と変容の過程を明らかにすることにあった。ここでは特に、戦後政党の中でも戦争直後の社会的混乱、頻繁な離合集散などの理由から関係資料の収集・整理が不十分である自由民主党発足以前の諸政党の組織と政策の成立と変容に焦点があてられ、加えて昨今の政党再編を経て誕生した新政党の組織と政策にも検討が加えられた。昨年度(平成6年度)は戦後の諸政党の基本的な軌跡を概観・整理するとともに日本自由党、民主自由党の組織と政策に関する分析を行ったところであり、本年度は第1に、昨年度の延長として自由民主党の発足以前の代表的な保守政党である自由党、日本進歩党、民主党、国民民主党の経緯および人事、組織、政策等について、従来より研究代表者が収集に努めてきた関係文書および政党関係者からのヒアリング資料等の整理を行い、これら資料に基づく分析を進めた。これらの成果は『北陸法学』第2巻第1号から第3巻第4号において順次取りまとめられたところであり、各党の変遷にともなう人事、組織、政策の変容の過程およびその背景等が明らかにされた。第2に、昨今の政党再編によって誕生した新進党、新党さきがけ等の新政党の組織(執行機関・議決機関・地方組織等)と役員人事に関する資料を収集・整理し、あわせて自由民主党、日本社会党、日本共産党の組織、人事等の変容を検討した。今後は研究を発展的に継続し、自由民主党発足以前の主要政党である改進党および日本民主党の組織と政策に関する資料の整理、およびポスト55年体制下の各党の組織と政策の変容について、さらに検討を進める予定である。
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