改めて述べるまでもなく、本研究の対象国であるロシアは、平成7〜8年にかけて益々「大西洋主義」(Atlanticism)から「ユーラシア主義」(Eurasianism)への傾向を強めた。ロシア外相が欧米協調路線の旗手だったコズイレフから、中東及びアジア重視路線のプリマコフへ変わったことも、この変化を象徴的に示している。つまり、我が国でこそ「日本モデル」にたいする自信喪失傾向が見られるものの、ロシアにおいては益々「欧米」よりも日本(ないしは韓国、中国)モデル志向が高まっているのである。このような状況の中で、研究者(木村)は、『ロシア改革にとっての日本の体験(第一集)』(モスクワ:1995)を入手し熟読するとともに、別紙のごとき邦語・英語論文を執筆した。また(平成8年)3月11日〜20日にはモスクワへ出張し、ロシア科学アカデミー傘下の極東研究所、東洋学研究所、世界経済・国際問題研究所・米国・カナダ研究所等のロシア人研究者たちと学術意見交換することになっている。
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