研究分担者 |
間宮 陽介 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 助教授 (00252502)
岩本 武和 京都大学, 経済学部, 助教授 (80223428)
根井 雅弘 京都大学, 経済学部, 助教授 (00212126)
小島 專孝 京都大学, 経済学部, 助教授 (20225436)
八木 紀一郎 京都大学, 経済学部, 教授 (30116511)
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研究概要 |
研究分担者八木紀一郎は,日本とくに京都大学におけるケインズ理論の受容と反発にかかわって,柴田敬と高田保馬について研究し,学会発表を行うとともに英文論文の公表を準備している。またドイツにおけるケインズ理論の受容と反発についても研究をすすめた。 研究分担者小島專孝は,ケインズが『貨幣論』で言及しているが,これまでほとんど論じられたことがなかったA. H. アバッティの理論を研究し,『請求されない富』(1924年)における有効需要論を初めて論じている。アバッティはセ-法則を否定し,また内生的貨幣供給論の立場から貨幣数量説を批判するとともに流通速度の可変性を論じ,消費財生産と資本財生産の両方が有効需要によって決定されると主張としている。アバッティには消費関数も乗数もないけれども,問題把握の点で『一般理論』のケインズよりも先行しているのであり『一般理論』の無視されている先駆者と評価される。またアバッティ理論との関連で,乗数を含んでいるジョハンセンの「有害な貯蓄」理論,ホブソンの貯蓄論,谷口吉彦の「購買力補給案」などを取り上げている。 研究分担者根井雅弘は,今日の時点でのケインズ経済学の評価を主に英米の経済学者たちの仕事の検討を通じて明らかにした。とくに「新しい古典派」が学会に与えた影響に注目して研究を進めた。 研究分担者岩本武和は,ケインズ理論の国際経済分野への適用を研究し,第一次大戦および第二次大戦中におけるケインズの国際金融政策への関与について研究した。また,IMF体制成立時において最大の問題となったポンド残高の処理に対するケインズの貢献について研究を進めている。
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