研究分担者 |
間宮 陽介 京都大学, 大学院人間環境学研究科, 助教授 (00252502)
岩本 武和 京都大学, 経済学部, 助教授 (80223428)
根井 雅弘 京都大学, 経済学部, 助教授 (00212126)
小島 専孝 京都大学, 経済学部, 助教授 (20225436)
八木 紀一郎 京都大学, 経済学部, 教授 (30116511)
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研究概要 |
「ケインズ・ペ-パ-ズ」の編成と収録内容を展望するとともに,文書の中から,(1)ケインズの初期哲学に関する研究,および(2)『一般理論』の礎石を提供したといわれるピエロ・スラッファとの交流を紹介した。 ケインズの主要著作が日本語に翻訳される経緯をケインズの「手紙」の中に探りながら,ケインズに関する日本の往時の関心を浮き彫りにした。 ケインズの「清算同盟案」を分析し,その歴史的制約を指摘するとともに,国際経済におけるパワーがもたらす歪みを規制するルールを提唱したものと評価した。 マネタリズム,新古典派総合,新しい古典派,新しいケインズ経済学(New Keynesian Economics)などの諸学派の思想と対比しながら,経済学をモラル・サイエンスと考えたケインズの経済観の重要性を指摘した。 『一般理論』の「先行者探し」において今まで顧みられることのなかったA.H.アバッティなる人物の二つの著書『請求されない富』(1924年)と『最終的購買者』(1928年)を初めて詳細に論じ,アバッティの有効需要論を明らかにした。また,N.ジョハンセン,ホブソン,アバッティの貯蓄理論を論じたほか,アバッティがピグ-効果を提示している,ということを発見した。 「ケインズ・ペ-パ-ズ」の活用という点からみると不十分であり,また,ミクロとマクロの関係など当初計画したテーマに十分に接近したとはいえないことは反省点であり,今後の課題としたい。
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