研究課題/領域番号 |
06451106
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小野 善康 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70130763)
|
研究分担者 |
吉田 あつし 大阪府立大学, 経済学部, 助教授 (60240272)
池田 新介 大阪大学, 経済学部, 助教授 (70184421)
|
キーワード | 流動性選好 / 時間選好 / 不況 / バブル / 累積債務 / 貿易政策 / スピル・オーバー効果 / 一般化モメント法 |
研究概要 |
提出済みの「研究実施計画」に沿って、平成6年度は以下の研究実績を得た。 (1)「貨幣経済の動学理論」で展開した流動性選好理論を応用することによって、資産保有に選好を持つ家計からなる経済を定式化し、資産価格の永続的インフレーション(バブル)を経済主体の動学的効用最大化行動によって説明できることを明らかにした。さらに、資産保有税や金融引き締め政策といったバブル抑制政策が、必ずしも雇用と経済厚生に対してプラス効果をもたらさないことを示した。 (2)時間選好に差のある2国を考え、対外純資産が非定常的に累積していくような動学的な世界経済モデルを構築したうえで、対外不均衡を是正する資本課税などの貯蓄管理政策や輸入割当・輸出自主規制といった貿易政策の経済厚生効果を分析した。明らかにした点は以下の3点である。(i)経常収支黒字国(時間選好率の低い方の国)による資本課税は赤字国(時間選好率の高い方の国)の経済厚生を必ず減少させる。(ii)経常収支赤字国の輸入割当には最適水準が存在する。ある場合には、マイナスの輸入割当、つまり、輸出促進策が最適になることがある。同様に、(iii)経常収支黒字国の輸出自主規制には最適水準が存在し、しかもマイナスの輸出自主規制(輸入促進策)が最適になる可能性がある。 (3)改良された一般化モーメント法によって漸近的最小分散推定量を求めるアルゴリズムを開発した。それによって時間選好率や流動性選好率の最小分散推定量を求めるために、日米の消費データを整備しつつある。
|