研究課題/領域番号 |
06451108
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
徳永 正二郎 九州大学, 経済学部, 教授 (30069702)
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研究分担者 |
浜地 秀行 九州大学, 経済学部, 助手 (10264011)
立石 剛 九州大学, 経済学部, 助手 (30253389)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 多国籍企業 / 対外直接投資 / 対外決済 / ドル体制 / 資本の自由化 / アジア金融市場 / アジアの成長 / 円の国際化 |
研究概要 |
本研究では、日本企業の海外事業活動における生産、物流、資金調達、決済について実証的に調査し、アジア金融市場相互間における国際資本移動の計量分析を行った(『研究成果報告書』)第3章及び資料1・2)。 そのような実態調査に基づいて、(1)アジアの成長とAPECという地域共同体との相互作用について資本の自由化との関連で考察し、また(2)アジア経済の成長と貿易投資について、直接投資と国際資本移動、円の国際化、アジア地域経済の発展の問題として分析した。さらに(3)アジア地域経済が形成される過程で円とドルの役割にどのような変化が生じたか、貿易、投資、援助、決済システム、アジア金融市場とユーロ市場等との関係で検討した。 本研究のポイントは次のように整理できる。(1)アジア経済の成長によって、米国を機軸とした伝統的な実体経済と金融経済(いわゆる「ドル体制」)と呼ばれる経済構造)にひずみが生じ、アジア地域に諸国の国民経済と金融システムが形成されつつある。(2)その背景には、日本やアジアNIEsによる直接投資があるが、直接投資は資金の国際移転よりも技術や産業構造の再編と深く関係している。むしろ投資資金は現地で調達され、それが現地金融市場を近代化する推進力ともなっている。(3)とはいえ、アジアにおいて米国の相対的地位が低下したとはいえ、それが直ちに円を機軸としたアジア通貨圏を形成することにはつなかっていない。アジア諸国は、円に対して価値を低下するドルを媒介通貨とすることによって、産業の国際移転を加速する手段としている。 成果の一部は、徳永正二郎編著『多国籍企業のアジア投資と円の国際化』(税務経理協会、平成8年)としてまとめたが、今後とも本研究を発展させる方向でアジア地域経済におけるドルの役割の変化を理論的かつ実証的に分析を加えたい。
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