1.ドイツの州間財政調整は、ドイツ統一後、1990-94年の過渡期を終えて、1995年以降、西独の制度が東部新州に適用され、売上税配分、州間財政調整、連邦の補完補給金および財政援助金という形態でのドイツ全体にわたる財政調整制度が、出発した。 2.現行の州間財政調整制度には次の諸問題がある。(1).連邦補完補給金制度における都市州の取り扱いの不平等や州財政力把握における不整合な取り扱い(海洋港湾維持費用の処理や市町村収入の算入割合等)にみられる、制度技術面の細部の不統一がある。(2).地域的収入原則の否定や州間の調整効果の減殺を引き起こす売上税補完分け前の問題点や、小規模補正と大規模補正を併存させるという矛盾した人口数修正方式の問題点等の制度的諸矛盾、ならびに、過度の平準化作用による州の財政的自治・州間競争を阻害するという望ましくないインセンティブの発生等、制度の根幹に関わる問題点が指摘されている。また、(3).この制度は複雑かつ政策的変更を含むため、明確性・透明性を欠いており、そのために、市民による政策判断を不可能にし、民主主義的な国家活動の要請を侵害し、公衆による国家的な収入・支出関係の産出・効率のコントロール、従って公共負担と公共財供給との最適関係の確立を阻害することになっている。 3.これらの欠陥の除去に関して、幾つかの改革提案がなされているが、その基本は、財政力の平準化を実現しつつ財政的自治、団体間競争の維持を如何にして実現するかの問題であるが、州間の利害の対立のために実現していない。
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