地方のとりわけ疎住地において、豊かさが実感できる地域環境を形成するために、「交流」の概念に基づいて高い水準の地域施設整備を可能とする計画論を構築することを目的としているわけであるが、「交流」は地域活性化のキィ概念として最近多くの場面で使われており、それらの整理から始めた。特に21世紀ひょうご創造協会では昭和60年頃より疎住地の活性化のための研究活動を行っており、その流れの延長線上にある国土庁の「交流人口」(平成5年度四全総推進調査)等の到達点と限界を検討した。その上で、軽井沢・奈良県下北山村・湯布院・岐阜県大和村等々を訪問・視察し、交流の受けとめられ方、施設整備における意義、交流の阻害要因をヒアリングした。その結果をふまえて、三重・愛知・岐阜・長野・静岡・福井・滋賀・奈良・京都・和歌山県の全市町村(人口50万以上の都市は除く)674自治体に自治体の性格・施設水準・母都市との関係・交流事業の種類・交流事業継続の課題・交流のための施設の有無と活用の程度等についてアンケート調査を行った。さらに、三重県内、愛知県設楽地域、滋賀県野洲地域のヒアリング調査をした。交流による施設利用には、イベント・広域交流・観光・リゾートによる違いがあり、地域特性に応じた交流計画が必要である。最も交流活動の活発な広域交流のためには、母都市周辺町村でもスポーツ施設の整備などが有効である。過疎的な地域では、イベント・都市部からの行楽圏の拡大による広域交流の誘導、リゾート・宿泊研修施設などが試みられているが、成功例は多くない。しかし、施設づくりが地域内交流には効果を上げている例もある。総合的施策が必要である。 広域交流が可能な地域では交流人口の試算も有効であり、今後の研究課題である。
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