研究課題/領域番号 |
06451125
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
農業経済学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
|
研究分担者 |
吉野 章 京都大学, 農学研究科, 助手 (80240331)
小田 滋晃 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70169308)
武部 隆 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30093264)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
キーワード | 輸入自由化 / 中山間地域 / 環境資源保全 / 地域産業連関 / 土地利用型農業 / 有機農業 / 窒素循環 / デカップリング |
研究概要 |
ガット・ウルグアイ・ラウンドの最終合意において、食糧農産物の貿易自由化が推進されることになり、我が国もコメのミニマムアクセスを受け入れることにより、完全な関税化の実施は先延ばしされた。こうした自由化の効果は世界資源の最適配分という意味での経済的合理性には合致するが、資源環境問題という観点からは、必ずしも最適な方策とは言えないことが示された。 近年、食糧貿易を通じた窒素、燐の土壌中へ蓄積が新たな環境問題として深刻化している。この傾向は日本やオランダ等の貿易依存度の高い国で顕著な問題となりつつあり、また輸入食品の安全性の議論も高まってきている。こうした点で、食糧貿易の自由化の効果は総合的な観点から評価されねばならないことを論じた。 貿易自由化が中山間地域に及ぼす影響は、特定地域に集中する傾向があり、この影響を軽減する為の保護政策として、従来の様な価格支持を通じた所得政策は国際的にも容認され難くなっている。そこで、EU等で議論されているデカップリング政策の導入が検討されなければならないが、欧州でのデカップリング自体は日本にはなじまない。それ故、日本型にアレンジした日本型修正デカップリングをきめ細かに実施することが望まれる。具体的には、生産、消費、貿易への撹乱効果を最小限に抑え、価格支持と切り離した形での農家所得補償政策を地域毎の実状にあった形で模索すべきである。 条件不利地域の活性化対策として、産業としての農業振興策のみでは不十分であり、地域資源を生かした第二次産業や第三次産業を育成し、地域内に雇用機会を創出することが重要であること、つまり農産物加工産業の振興や農業資材生産企業および教育産業の誘致が重要であり、さらに農業の持つ公益的機能への助成を通じた振興も今後ますます重要性を帯びてくることが示された。
|