研究課題
1.5年前の春に暗渠排水を施工した豊頃町二宮地区の圃場で、排水効果を維持させる目的で、火山灰を充填した有林心土破砕を補助工法として施工して、その成績を追跡調査したところ、施工3年目で無林心破区では排水効果が著しく低下したが、有林心破区では効果が持続した。秋蒔き小麦は、多雨年の6月中旬まで有林心破区で良好な生育を示した。秋期に周期的に降雨のあった平成7年でも大豆がこの区で良好な収穫をもたらした。よって細粒・堅密な沖積土の排水効果の持続には、有林心土破壊砕の併用が有効であると言う知見を得た。2.標高渣(400m、800m)による気象変化と混播牧草の植生や生産性の差異を圃場試験で確認したところ、牧草生育期間の平均温度の差は摂氏1.3度、降水量は73ミリの差があり、高標高地は低温多雨の微気象を持っている。1年草の生産性は46%減となることが判明した。この関係にはチモシー主区とオ-チャード主区との間では有意差はみられなかった。また2番草でも刈り取りの時期による収量は在圃場期間と共に増加するが、葉部枯死率が高くなることが判明した。これらは圃場試験につき3年間の観測で総合判断に導く予定である。3.十勝20町村の昭和40年以降のデータで、平成7年度には主要畑作物の他に野菜作を対象にして、収量の累積密度関数を推計し、作物毎に確率的優越性を検討した。概して野菜作は主要畑作物よりも確率的優越性に優れていることが分かった。4.平成8年にはこれらの総括として、安定経営の設計や農業支援事業のあり方等、方向付けを試みる予定である。