| 研究概要 |
高齢社会にあたっては、健康の担い手として訓練されてきた看護職が、“ケース・マネージメント"(Case Management)能力を発揮できることである。このような立場から、関連文献の検討、看護事例検討、学習会の開催、セミナー参加などを通して概念化を試みた。その中で、看護職の“ケース・マネージメント"は、ケアの実施に関する「安全」「安楽」「自立」という看護の機能に添ったものを中心に、「サポート」「自己提供」などが挙げられた。
また、“ケース・マネージメント"能力育成は、看護を学ぶ早期から必要という、これまでの成果の上に立って、研究者らが携わる看護基礎教育過程の臨床実習における学内カンファレンス(Clinical Conference)に焦点を当て検討した。この過程で明らかにし得たことは以下の3点であった。1,学生の臨床状況への参与の仕方は、カンファレンスへの参与の仕方と類似する。2,カンファレンスは自己表現の訓練の“場"として有効である。3,“ケース・マネージメント"能力は、看護者として感じ・考えたことを表現することであり、その時・その場での自己提供が重要である。
以上より、“ケース・マネージメント"能力育成には、学生が自己表現する力を育むこと。とくに、技術教育では、自己の実践を他者に説明することを通して、断片的な知識を系統的な知識となすものである。自己の専門分野を深める上からも、カンファレンスが重要な教育方法であることを確認できた。さらに、“ケース・マネージメント"という観点から看護実践を検討した結果、個人的な善意として実践してきたことが、看護婦の活動として位置付けられることで、看護婦が勇気づけられること。また、看護活動の改善と拡大を動機づけられることが示唆された。海外の動向については、これまで収集した資料、研修を基にまとめ提示した。
|
