高齢社会、少子社会において、看護職にとっては、利用者が必要に応じて主体的に、保健・医療・福祉の各種サービスを活用できるように支援する力量、即ち、"ケース・マネージメント"(case Management)能力が求められる。こうした社会的要請に呼応する看護職の育成に関し、3年間にわたり本研究に取り組んできた。 平成8年度は、引き続き関連文献の検討、看護事例検討・学習会の開催、セミナー参加などを行うと共に、研究者らによる看護基礎教育課程における臨床実習の「臨床カンファレンスの展開方法」、「終末期患者への看護学生の対応への支援方法」について検討した。 その結果、1)臨床カンファレンスにおいては、学生が自己の関心のありかを自覚することを通して、患者の全体像を把握する方法を明らかにした。2)終末期ケアにおいては、学生が否定的な感情を克服して患者に対応する過程で、看護チームからのサポートのされ方が大きく影響すること、とくに、臨床カンファレンスが、学生・教師を含む看護チームメンバーの担っていること、めざしていることを確認し合う場と機会として有効であることが判明した。 以上のように、本研究を通して、自己覚知・自己理解を深めることが、臨床実践能力にとって重要であると共に、ケース・マネージメントを展開する上での基本系な要素であることを明確にすることができた。
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