研究概要 |
学校の体育において,障害児が健常児に混じって授業を受ける、いわゆるインクルージョンの実態調査を行った。インクルージョンに対する教師の意識調査を行った結果、インクルージョンを肯定的に評価する教師は小学校においては74%、中学校においては56%であった。肯定的な理由としては、障害児の人権を配慮すべきだから、健常児と障害児の相互理解を向上させるから、などがあげられた。否定的な理由としては、能力差が大きいから、したがって指導法が難しく、失敗に終わった事例が少なくないから、などがあげられた。インクルージョンに適した運動種目に関しては、体操や陸上競技などのように個人の技能レべルが全体の活動にあまり影響しない種目がよいとする意見と、球技やダンスのように健常児がある程度障害児の動きを配慮しながら協力的に活動する種目がよいとする意見に分かれた。障害児の運動時の心拍数は、インクルージョンにおいて高い値を示す事例と、逆に低い値となっている事例に分かれた。低い値となった事例をみてみると、インクルジョンの経験の初期である場合、障害児側が、例えば自閉症などのように対人関係において問題を有しており健常児側の協力に呼応できない場合などがあった。インクルージョンが成功している事例においては、特殊学級での体育時の平均心拍数は118拍/分であったが、同じ児童のインクルージョン時における平均心拍数は137拍/分となるなどの事例がみられた。第二年度は、インクルージョンの縦断的追跡を行い、活動量、体力、仲間関係の変化を分析をする。
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