本年度の研究目的は第1版PCI(心理コンディションテスト)の標準化を完成し、第2版PCIを作成することであった。PCIの77項目を大学競技部に所属する学生、高等学校運動部の生徒等を対象に実施し、因子分析を行なった。その結果、PCI第1版の下位尺度に対応した7因子(一般的活気、技術効力感、競技失敗不安、闘志、期待認知、情緒的安定感、疲労感)が見出され、第1版PCIの作成時に描出された因子との共通性が確認された。しかし、7因子と相関する項目は一部異なり、最終的に77項目の内59項目が有意な相関(40以上)を持つ項目として選抜された。従がって第2版PCIは一般的活気(23項目)、技術効力感(11項目)、競技失敗不安(9項目)、闘志(7項目)、期待認知(7項目)、情緒的安定感(7項目)、疲労感(6項目)の7下位尺度で構成された。 また、これらの尺度の信頼性についてはα係数と再テスト法による相関係数を算出し検討した。その結果、α係数においてはほぼ、80以上の高い係数が得られたこと、また再テスト法においては一部疲労感などの尺度で中程度の相関が得られているが、状況的尺度の特質を考慮するとほぼ満足できる信頼性が得られたと言えよう。さらに妥当性については基準関連妥当性が検討され、競技レベル、経験年数、競技成績などの基準との関連が確認された。上述した下位尺度についてはそれぞT-scoreが算出され、これらを評価基準とするプロフィール表が作成され、最終的な第2版PCIが完成した。
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