研究概要 |
今年度都市内の消費者行動を分析した結果,自動車を利用しての消費行動,すなわちマイカ-ショップは,茨城県内の主要都市では84.5%に達するようになった。消費者の消費志向も個人経営の商店から法人格の大型店舗へと移ったため,既存の都市域内における商店の廃業が目立ち,茨城県内の主要都市では,空店舗率が9%にものぼる。当然,商業機能の重心は,旧市街地から郊外のロードサイドビジネスと呼ばれる主要道路沿いに移行している。 消費者の行動圏は,自動車を利用することで広域化する一方であるため,農村地域,郊外地域,都心地域などに居住する人びとの消費行動圏は均一化に向かっているといえよう。 一方,工業生産での技術革新は顕著であり,とりわけ,マイクロエレクトロニクスの技術革新は,従来の工業立地を著しく変容させつつある。すなわち,既存の工業集積地域から周辺地域への工場の立地分散がみられた。東京大都市圏でみるならば,都心周辺部から大都市圏縁辺部への移動であり,業種によっては,東北・九州地方など,従来工業集積がみられなかった地域での立地が注目される。この背景には,技術革新に伴う外部経済依存の低下,集積の不経済の顕在化があげられる。その結果生産が広域化し,同時に地域の条件に対応した生産・経営の地域分化が進行しつつあることが解明された。
|