研究課題/領域番号 |
06451148
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐古 順彦 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10000069)
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研究分担者 |
梅澤 章男 福井大学, 教育学部, 教授 (70151925)
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20000086)
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キーワード | オープン学習 / 授業分析 / 指導案 / 小学校 / 環境形成 / 教育環境 / 教育工学 / 生態心理学 |
研究概要 |
これまでに収録したオープン学習場面をいくつかの側面から分析した。低学年理科「まほうの目」(色彩セロファン・鏡・双眼鏡などを用いた視覚的探索)、低学年音楽科「リズムとなかよし」(運動的・感情的表現活動)、中学年国語科「あ!ガリバーがいた!」(小人の国の人となった児童が新聞紙で体育館の床にガリバーの姿をつくる)、中学年統合科「北条大学:博士・名人になろう」(児童が講座を開き受講者を募って単位を認定する)、高学年社会科「研究開発ゲーム」(廃物のボールペンを空想的に自由に加工できるという前提で、集団となって特許を申請する)、高学年算数科「楽しいひきざん」(6年生が教具を用いて1年生に繰り下がりのある引き算を教え、後一緒に遊ぶ)を中心に教師・児童の活動を分析した。その結果、学習空間の構造に関する興味深い事実が明らかになった。一つは活動の空間的境界に関するもので、児童を引きつけ一定の距離を超えて活動を拡散させないヒトとモノの配置は「アンカー・ポイント」となって空間の物理的区画を必要としない。もう一つは、活動系列に関するもので、教師の位置を児童の活動の「起点」あるいは「回帰点」として全体の活動に埋め込み、児童の動線を制御するという意図がみられる。オープン学習のデザインの基本的ルールである。個々の授業の細部は、別の観点から分析された。オープン学習は、基本的に、授業を行う教師の眼によって全てを捉えることのできない場面である。従って、客観的な「第3の眼」が必要である。授業中の教師や児童の「発話プロトコル」を起こし、学習場面を維持させている「環境圧力」を解明したり、指導案に書かれた「予測される活動」を超えて生じている事実を明らかにする分析を行った。これらのことは教師には「見えない」ので、「見える」かたちで提示することが教師へのフィード・バックとして必要なことなのである。
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