本年度は、1.実験環境の改良 2.予備練習の効果ついての追試 の2項目について作業が進められた。 1.実験の精度を上げ、データの信頼性を高めた。改良点は、次の4点である。 (1)実験視聴テンプレートの画質の向上→一部はNECに編集を依頼し、後はデジタル編集をした。 (2)テンプレートの視聴内容と分析の合理化→実験のインストラクション、字幕の読み練習問題を作成し、テンプレートに組み込んだ。解析部分は各シーン20秒に絞り、分析の焦点を明確にした。 (3)字幕→日本語字幕のシーンを追加して、英語字幕のシーンの視聴と比較した。 (4)アイマークレコーダのレンズ→30度レンズを使用して分析角度を狭め、詳細な分析を可能にした。 2.音声、映像、文字の3モードが呈示されると、初級英語学習者にとって、字幕が理解過程に干渉なった。そこで、視聴前に、語彙の紹介と説明、字幕の文字を読む練習など言語的な補足練習を施すと、練習後の3モード複合教材を視聴中の被験者の視線運動が、英語の習熟度の高い学習者と同じ様な軌跡を取るようになった。字幕上の固視点が少なく、各固視点の停留時間が伸びた。これは効率のよい読み方であり、映像をより長く見る余裕がでてきた。本年度は、映像の画質、実験内容、設定条件をかなり改善して平成6年度後半で行った実験の追試をし、データの信頼性を高めた。統計的な定量分析は、現在進行中である。 本年度の目的として、学会発表が予定されていたが、1.にかなりの時間を費やし、実験データ収集までで本年度は時間切れとなった。しかし、一方では、米国の字幕映像教材の実践状況を調査し、National Captioning Instituteに連絡して関連研究のデータベースを入手するなど、本研究に必要な資料を収集することができた。
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