本研究では、理科教材改善の手法として、客観的評価方法を開発することを目的としている。特に、従来行われていなかった、生理反応等を利用した認知的評価方法に注目した。本研究では、認知的評価方法の成立根拠をあきらかにし、さらに実態調査によって、その具体的な方法を開発した。 実態研究においては、情意領域における象徴的距離効果を中心に調査した。距離効果とは、ある一対を選択する時間は、その選択する次元における距離に逆比例する現象である。その次元は抽象的な場合、象徴的距離効果と呼ばれる。この現象を用いることによって、本来測定できない心的な次元を、反応時間によって客観的に測定することが可能となる。本研究における被験者は小学生である。事前調査によって、児童が一般的に知っており、かつ、好嫌度において特徴的な動物(ゴキブリ、鳥等)を選択した。第一調査において、彼に一対の動物を提示する。そして彼らは、その一対の中でより好きな方の動物を選択するよう指示された。その選択は、一対のボタンを押すことによって行われる。好きな方の動物を選択する反応時間は、その一対の動物の好嫌度の違い(ステップ)の逆比例した。第二調査においては、彼らの反応時間を2回測定した。1回目は解剖実験の前に測定した。2回目は解剖実験の後に測定した。実験を経験したことによる好嫌度の変化は、反応時間の変化として現れた。その結果、一般的には、一度解剖実験を行った対象に対しては興味を失う。しかし、一部児童は逆に興味を持つようになり、多様性が見られた。
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