本研究は、在日中の外国人留学生を対象とし、日本語韻律の習得過程を明らかにすることを目標としている。平成6年度は3年計画の1年目で以下のように研究を進めた。 1 研究代表者、研究分担者に12名の研究協力者を加えた研究チームを編成し、研究打ち合わせ会を6回開催した。研究計画、調査項目、資料収集方法、分析方法等についてフランス国立科学センター音声研究上級研究員西沼行博氏のアドバイスを得た。 2 被験者の言語背景等についての情報を記録するための共通フェイスシートの項目等について検討し、「調査表」を作成した(山崎真弓ほか)。 3 それぞれの研究計画により、調査項目等を作成し、音声データ収集を開始した。 4 タイ人日本語学習者に対する短期の音声韻律教育の効果について調査するため、韻律教育前後に聴取・発話テストを実施し、その結果を第7回東京音声言語研究会(平成6年12月17日)において報告した(植田栄子)。 5 「東京語アクセントの聞き取りテスト」を平田悦朗・中川千恵子の協力により、来日後約1か月目の留学生を対象に実施し、結果を「在日留学生の東京語アクセント聞き取りテストーお茶大94・11の結果の報告-」にまとめ、研究打ち合わせ会(平成6年12月26日)で報告した(鮎澤孝子・法貴則子)。 6 ピッチ曲線分析のためのガイドライン「基本周波数から知覚的に等価なピッチ曲線を推定する規則について」をまとめ、国立国語研究所が主催した「音調言語の韻律に関する研究会」(平成7年3月11日)において報告した(西沼行博・山崎真弓)。 7 長友和彦は第二言語習得研究における縦断研究の重要性について「第二言語としての日本語の習得研究」にまとめた(平成7年『概説日本語教育』三修社)。
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